小説〜辿り着いたは精神病院?

資産家のお嬢様で良家の奥様。仕事良い夫、多くを持てる彼女は死の願望に取り憑かれていた。前を向き強く生きていた瞳はもう暗闇しか映さない。警告:小説と現実の区別がつかない人は絶対読まないで下さい。

シーン7 "ルーズユアセルフ" 総集編

*警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい。







 

シーン7-1 "ルーズユアセルフ"


主婦不在の家で年賀を祝うことは出来ないから老舗の温泉に集まれと、パパからの連絡があったのは年末も押しせまった時期だった。名古屋市近郊のこの宿は値段と料理が良く非常に高額であることで知られていた。
正月なら、さらに値段は上がるのだろう。

パパは一緒に住んでいる女性を同行する予定だと、黒曜を通じて聞かされた。
ソヨンさんと暮らしている黒曜は来るのを渋っていたがに逆らうことはできず、巻き添えとばかりに、私と祐輔も参加する約束させた。パパと同じ部屋で寝起きするなんてまっぴらだと主張した金剛も、琥珀に首根っこを捕まえられるようにやって来た。


夕食会場の『牡丹の間』でパパを待ちながら『面倒を見てくれている人』は、どんな女性だろうと、私は考えを巡らせた。
. . . できたら、家庭的だったらなぁ。パパもいいかげん落ち着いても良い年だもの。

「良い年して新年会かよぉ!」不満タラタラの金剛。
「コンいつまでもブーたれてんじゃねぇよ?ん?」長兄の琥珀は末弟を捕まえ、いきなりヘッドロックの体勢をとった
「ぐぇ〜っぇえ!止めろ〜よぉ!琥珀兄ィ!」
お膳の上のお品書きを読むのを邪魔され、私は注意した。
「ちょっとぉ、じゃれるならあっちでやりなさい」シッシと手で追い払う。
到着が遅れているパパと同伴者を待つ間に、ちゃかり先にお酒を飲み始めた男達は宴会気分が盛り上っていた。
湯上がりの浴衣をはだけ、子供みたいに遊んでいる。
「ほら、コンちゃんタッチタッタ!」祐輔も琥珀金剛の戯れ合いに加わった。
「祐輔君、タァァッチ!!」
「俺の延髄切りを喰らいたい奴は誰だぁ?」
悪のりした琥珀が長い足を振り回し、よろけた金剛が私の背に乗りかかるように倒れて来た。
コップの烏龍茶がシルクウールのニットの袖を濡らす。
「私が笑ってるうちに止めなさいよぉ?」私は目線だけ向けると言った。
その瞬間、仲間に加わろうと琥珀の足を掴んだ黒曜の動きがピタっと止まる。
子供の頃やった遊びのように全員の呼吸が一致した。
「. . . 留璃子ちゃん微妙に怖えぇ. . . 」
金剛が聞き捨てならないセリフを吐いた。

図体の大きな奴ばかりの騒ぎは限りなく鬱陶しかった。
だだっぴろい宴会場の端に追いやられた弟達は、お膳をひっくり返す心配が無くなったとばかりに益々大騒ぎしている。他所から聞こえて来る騒音も似た様なものなのだ、うるさいのはこのさい我慢する。
. . . 正月でお酒が入っているとはいえ、今日のテンションは子供の頃に戻ったみたいだ。

「ね、ね?久しぶりに麻雀もしねぇ?」
金剛の提案を即黒曜が否定する。
「人数合わねぇだろ?飲みに行こうぜ!ここのラウンジの女の子レベル高いぜ?」
「あ、僕マージャンできない!」祐輔。
「それなら大丈夫、私が後ろに付いてあげるから」私は一人は慣れた場所から声をかけた。
「瑠璃と一緒ぉ?やるやる!」嬉しそうに笑う。
琥珀は祐輔の肩に手を回すと顔を近づけた。
「祐輔君?たまには留璃子姉ェから離れたらどうだよ?」内緒話を装って聞こえよがしに言う。「正月くらい息抜きしろよ?」
「そうだぞぉ祐輔君!たまには男同士で飲もうぜ?」黒曜は真面目な顔で言うと祐輔のグラスにビールを注ぎ足した。
「ちょっと、そこ!飲み過ぎ!」私はお酌し合っている祐輔と弟達をたしなめた。「パパが来る前に出来上がっちゃってどうするの?!」


「お連れ様がお見えになりました!」仲居のお姉さんが笑いながら案内を述べた。
. . . 体格の良い大の男がじゃれあう姿はそりゃ見物だろう?
「お前ら俺抜きで、もう盛り上がってるのか?」
パパは姿を見せると、座敷の向こうから上機嫌な声を掛けた。
「まあ良い。正月だ。今日は無礼講だ!」
その後ろに隠れるように立つ女性。
「ああ、小谷さんだ。お前ら覚えてるだろ?」
見違えるほど高級な衣装や宝石で身を飾り、私達に向かい無言でペコリと頭を下げた。
. . . . . . もちろん覚えている. . . . . . ママの介助をした家政婦さん。

「親父、遅かったな?」琥珀は挨拶の口火を切った。「明けましておめでとうございます」
「明けましておめでとうございます」
「おめでとうございます。今年もお願いします」
「明けましておめでとうございます」
次々に新年の言葉を述べる。
「. . . おめでとうございます」私はなんとか声を絞り出した。

琥珀は冷静で如才ない態度でパパにお酌をした。
顔や態度に出さない黒曜はソツなくパパの話に相づちを打った。
しきりに金剛は疲れていないか私に気を使ってくれた。
私の隣の祐輔はニコニコしながら料理を平らげている。
. . . . . . 私は。
私は平然を保とうと震える手を必死で押さえいた。
上座のパパの隣で、その女性は張り付いたような笑顔を浮かべていた。

小谷さん。
ママの介護を頼んだ家政婦さん。
長男の琥珀を喪主としたお通夜に、旅行先から戻ったパパが伴っていたのが彼女だった。
葬儀会場に入るなり大泣きしたパパが次に取った行動が、その小谷さんを罵る事だった。
『お前ぇ!看護婦を頼んでおかなかったのかぁぁぁぁああああ!!!』
『わ、私は、聞いて、ま、せん. . . 』
『そんな訳あるかぁ!お前に言いつけておいて、鍵まで渡しておいただろうがぁぁぁあ!!』
『で、でも、私は. . . 』
『うるせえぇ!!』
パパは家政婦の小谷さんに看護婦の手配を頼んだと言った。
小谷さんはパパから旅行に誘われ同行しただけだと説明した。
紗香さんは黒曜が四国に出張中に実家に里帰りしていた。
黒曜は自分の不在中も紗香さんとパパ、家政婦さんが家に居ると思っていた。



「瑠璃?また眠れないの?」
夜明け前にお手洗いに起きた祐輔がリビングに顔を出した。
「. . . うん」
私はソファーの上で毛布に包まったまま、のろのろと祐輔の顔を見た。
「瑠璃. . . 」
「祐輔は眠って、仕事あるでしょ?」新年会以来、私は極端に眠れなくなってしまった。
祐輔は何も言わず、毛布の上から私をそっと抱きしめた。




琥珀から話があると連絡があったのは、暦が節分を過ぎた頃だった。
珍しく自分のマンションに招いてくれたので、私は手みやげに琥珀の好きなイタリアワイン、2000年のバローロとウォッシュチーズを持参した。

「琥珀。ベーグルサンド持って来たけど?」私は軽食に用意した袋を差し出す。
「ああ、サンキュ」受け取るとオープンキッチンに向き直った。「留璃子姉ェ、珈琲か紅茶どっちにする?」
「珈琲をお願い」
稼ぎの良い単身者かDNKS向けに設計されたこの物件は、都心にあるにも関わらず南間口が大きく、20畳以上もあるリビングをさらに広々と見せていた。図面の段階からデザインさせたインテリアはすっきりとセンス良く、大きなアクアリウム水槽がこの部屋に安らぎを与えていた。
「琥珀。いつも奇麗にしてるね」感心して言った。
. . . 私も以前はチリ一つなく片付けていたのになぁ. . . 。
「そうか?滅多に掃除なんてしねえけどな」琥珀はマグカップを私に渡すとソファーの反対側に座った。

ダイニングを兼ねるローチェストテーブルには座り心地の良いソファーがコの字型に置かれていた。収納型のテレビボードと、ノートパソコンの乗った小型で背の高いテーブル以外、何も置かれていなかった。
. . . まったく琥珀らしい部屋だ。

「留璃子姉ェ最近どうだ?」
「まあまあかな?」
「寝てるのか?」
「う〜ん」化粧もしていない顔には、くっきりと目の下のクマが浮いていた。
「臨床心理も、ちゃんと通ってるか?」琥珀は医者モードで聞いてくる。
「うん」
自分で選んだベーグルサンドを食欲の湧かない目で眺めると、食べる振りをやめて皿に戻した。
「パパは. . . パパはさぁ、税務署にチクった愛人を切ったと思ったら、今度はママの看護婦を手配し忘れた女と暮らしているのねぇ」
私は珈琲マグの中を覗きながら言った。
「どっちもママが生きてる頃からの妾ってワケよね?. . . あの家に、ママの家にそんな女を住まわせるなんて. . . そりゃ、いくらパパだってお仏壇が背中にあっちゃ寛げないはずよねぇ」可笑しくもないのにクスクスと笑いが漏れる。
. . . . . . . . . だから仏間を移動したのだ。
「留璃子姉ェ」琥珀はやんわりと言う。
「琥珀. . . パパはママをわざと置いて行っのよねぇ?」笑いは洪笑を通り過ぎ悲鳴になりつつあった。
「ママは!あの部屋でぇ、水も飲めないでぇ、お手洗いにも行けなかった!. . . ママは、自分の、自分の排泄物にまみれて弱っていったのよね!!」
口を噤むと、アクアリウム装置の水音が微かに聞こえた。
「. . . ママは渇き死んだ。パパはママを渇き殺した」
「留璃子姉ェ、考えるな」
「無理」
「考えてもどうにもならねえ。辛いだけだろ?」
「許せない」ツーゥっと涙が頬を伝う。手にしたカップの縁にポトリと雫が当たった。
「忘れるしかねえ」
「許せない」
「お袋は帰って来ねえぞ」
「許せない」私はかたくなに首を振った。「私はパパを許さない」
「留璃子姉ェ. . . 」
「琥珀!琥珀なら気がついてたんでしょ?!パパはワザと介護を放棄したのよぉ!ママが邪魔だったから!死んだってかまわないって捨てて行ったのよぉ!!」
「留璃子姉ェ落ち着け?な?」
「もっと早くママを見に行っていれば。そうよ、私は自分のマンションじゃなくて実家で療養すれば良かったのよ!どうせ寝てるだけならママの隣で寝てれば、薬だって、お水だって、ちゃんと飲ませてあげられたのに」
次から次へと言葉が勝手に溢れ出し止まらない。
「けど、けど、私はママのことを思いやる気持ちが無かった!せっかく妊娠したのに自分の不注意で流産させて. . . もう、もう、赤ちゃん産めなくなったって、 私、私、そうやって自分の悲しみに浸っていたのよぉ、悲劇のヒロインみたいにぃ!ママが、私を産んでくれた母親が死にかけてるのに. . . 自分のことしか考えていなかったのよぉぉ. . . 自分勝手でママを死なせたぁ. . . ママを. . . 」言葉は悲鳴になり、嗚咽に変わる。

「琥珀ぅ. . . ママを、助けられなかっ、たぁぁ!!. . . マ、マを、ママを、守れなかったぁぁ. . . ぅ. . . ひっく、ひっ、ひっく. . . くっくぅぅぅううう」
「留璃子姉ェ」
「. . . ぅ、うう. . . こ、怖い、怖い. . . パパ、怖い. . . わ、私も、ママみたいに. . . なるのぉ?. . . あ、あんな風に、い、生きたままぁ. . . 乾いて死ぬな、らぁ. . . じ、自分で、死んだ方が. . . そうよ、死に方くらい、自分で選び、、、」
突然琥珀は私の両腕をガシっと掴んだ。
「留璃子姉ェは、お袋とは違うだろ!」痛いくらいの力で揺すぶる。
力の抜けた私の頭はカクカクと揺れた。
「留璃子姉ェには祐輔君が居る!お袋とは違う!」
「. . . ゆ、祐輔?」
「そうだ。祐輔君は留璃子姉ェを放っておいたりしねえよ」琥珀は私の瞳をじっと見つめ噛んで含めるように言った。「祐輔君は離れろって蹴飛ばしても留璃子姉ェの側を離れねぇだろ?な、だろ?」
「. . . ゆ、う、すけ」
「ああ、留璃子姉ェには祐輔君が居る」


取り乱した私を琥珀は家まで送ってくれた。祐輔の帰りを待ち、ふざけて私を腕の中へ押しやる。
「ほい。留璃子姉ェ、ちゃんと返したからな」あはははと声を上げて笑った。
「. . . 何よ。モノみたいにぃ」
「祐輔君」琥珀は静かな声で呼んだ。
「何?」
「留璃子姉ェのこと頼む」
「うん!もちろん」祐輔は弾ける様な笑顔を見せた。
「琥珀!」
私の呼びかけに琥珀は片手を上げると軽く振る。
そのまま振り返らずに帰って行く後ろすがたを、私はずっと見送った。










シーン7-2 "ルーズユアセルフ"


「私、色々考えました」
もう何度目になるだろう?臨床心理士の多岐川先生との面談は足掛け三年に渡っていた。
「自分の中でけじめを付ける必要があるんです。これ以上、結論を持ち越すことはできません」
真摯な眼差しを向ける多岐川先生に、私は告げた。
「今、今が、その時なんです」



バイトを転々としていた金剛が、プログラマーとして正社員契約を結んだと聞いたのはその週末だった。
「コン、おめでとう!」私は声が震えた。「コン、良く頑張ったね」
高校をドロップアウトしてから自力で大検をとり、専門職まで得たのだ。小さかった弟が、あの末っ子の金剛が. . . 私は胸がいっぱいだった。
「よせよ留璃子ちゃん!これから、これからだって!」金剛は照れくさそうに言った。
「コンちゃんC言語独学だって?すっげぇ!!」祐輔が興奮しように言う。
「すっげぇ人手不足らしくてさぁ?今のとこ、5ヶ月くらいになるかな?雑用やりながらプログラムやらしてもらってたんだけど」へへへと頭をかく。「社員契約にしてくれって社長に言われた時はびっくりしたぜ?マジぃ?ってカンジ」
ひとしきりプログラム用語が飛びかう会話を金剛と祐輔は交わした。

「コン。朱実さんから電話あったよ」
私は金剛が二十歳で結婚そして一年足らずで離婚した女性の名前を挙げた。
「彼女、再婚するんだって?子供も、新しい旦那さんの籍にいれるって?」
「うん。そう言ってた」
「え?コンちゃんの子供を養子にしちゃうの?」祐輔は驚く。
「違う、朱実さんの子は、コンの子供じゃないのよ」私は訂正する。
「留璃子ちゃん知ってたの?」金剛は意外そうな顔をした。
金剛と知り合った時、朱実さんは既に妊娠していた。
朱実さんを庇い、八ヶ月の早産で産まれたと周囲には言っていたけれど、4800グラムもあったので内心変だと思っていた。
先日再婚の知らせをくれた朱実さんの口から、自分たちの子と周囲に告げていた少年は、実は金剛の実子で無いと告げられた。それを承知で今まで養育費を払ってくれていた金剛に、心から感謝していると電話の向こうで彼女は泣いていた。

「朱実さん、幸せになると良いね」私は心から願った。
「そうだなぁ」金剛は優しい目をした。「幸せな家庭、作れりゃ良いよな」
「今度はさ、コンちゃんの番だね?」
祐輔に混ぜっ返されて金剛は舌を出した。
「二度も結婚すりゃ十分!もう間に合ってます!」



黒曜は離婚調停を申し立てた。
紗香さんはガンとして離婚を拒み、黒曜の不義を理由に強い対立の姿勢を見せた。双子のマヤちゃん、マイちゃん、産まれたばかりのマオちゃんの為にと、私に弁護証人に立って欲しいと言って来た。
私は首を横に振った。
『やっぱり留璃子姉さんも、身内が可愛いのねぇぇ!!』紗香さんは激怒し、私を裏切り者と呼んだ。
暴言に、反論しようとした祐輔を私は止めた。
紗香さんには言う権利がある。
私達には、彼女の心の痛みを甘んじて受ける義務がある。



琥珀は勤務先の医院や、病院の夜勤をを全て辞めた。
国内での手続きを終えフランス行きの飛行機に乗り込む琥珀はサバサバとした明るい表情をしていた。まるで憑き物が落ちたみたいだった。
見送る私達にとても穏やかな笑顔を見せた。
「じゃあ、行って来るからな」
「. . . 琥珀」私は胸が詰まった。
「泣くなよ?留璃子姉ェ」
「琥珀君、気をつけてね!」祐輔は私の肩を抱きながら琥珀と握手を交わした。
「琥珀兄ィ、連絡しろよぉ!」金剛は軽い調子で言う。「くたばるんじゃねーぞ?」
「あっはは!俺がそう簡単にくたばるかっての!」
ジーンズにニット、片手にデイパックというカジュアルな服装をした琥珀は、最後に大きく手を振ると姿を消した。
しばらく動けずに泣いていた私の肩を、そっと祐輔が支えてくれた。
ソッポを向きながらも側でじっと待っていてくれた金剛がポソリと呟いた。
「国境なき医師団、か. . . 」



梅から桜へと季節が移ろうという時期、そのセレモニーはささやかに行われた。
『桜梅(おうめ)公園』
公園の出入り口にある小さな石碑に刻まれた名前。
地下鉄駅が開業して急に発展したこの地域の、僅かな憩いの場所として造られた公園。なるべく元の形で梅や桜の木が残された、お爺ちゃんの公園。
「ママは. . . 」私は空を見上げて行った。
春の柔らかい空気には仄かな土の匂いがする。
「ん?何、瑠璃?」
「ママは、お爺ちゃんとお婆ちゃんと、一緒に居るのかな?」
「もちろんだよ」祐輔は優しく言うと、握った私の手を引き寄せた。「ずっと一緒だよ」

道路を行く車が途切れた瞬間、遠くの空でヒバリの鳴く音が聞こえた。




     〜辿り着いたは精神病院 END 







シーン7"ルーズユアセルフ" 後書き


それぞれの道を歩み始めた留璃子達の先には何が待っているのか。
人は何故産まれ、何の為に生き、何処へ辿り着くのでしょう?

長男の琥珀は優秀な医師であり資産家の息子であるという、人もうらやむ環境を自ら捨て去りました。危険の中に身を投じる決意をした彼の目は何を見ているのでしょうか?

二男の黒曜はひたすら父親に忠誠を示し家業を守ってきました。不器用な彼が初めて父親の意向に逆らい自分の欲しい物を求めた結果が、妻と自分の子を苦しめる行動となってしまいました。

三男の金剛は寂しい子供時代を送り、身の置き所を持たずに生きてきました。その彼が少しづつ自分の居場所を、自らの手で作り始めました。


長女の留璃子は父親とのしがらみを自らの手で断ち切り、改めて祐輔と二人だけで歩き始めようとしています。うつ病はまだ完治していません。この先もまた苦しむことはあるでしょう。しかし留璃子には自分の行くべき道が、なんとなく見えて来たのではないのでしょうか?

あなたの辿り着く場所はどこでしょう?
留璃子の辿り着く場所の隣には、きっと祐輔もいることでしょうね?


拙い文を読んで下さった皆様にお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
また文中の描写で不愉快な思いをされた方がいらっしゃいましたら、ここでお詫び申し上げます。この小説は全くのフィクションですが、葛藤や苦しみの表現は自分の体験を元に書いた部分もあります。けっして話を盛り上げる為だけに様々な病名を出したわけでは無い事をご承知置き頂ければ幸いです。

少しの休憩をとりました後、番外として『シーン7 "ペルソナ"』で主人公視点以外の物語を書けたらな?と考えております。






追記 命日の三月二十三日に完結できたこの物語を天国の母に捧げ 私を産んでくれてありがとうと書き添えさせて頂きます








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Author:kyorori
登場人物、治療内容、医療機関は全くのフィクションです。病院やお薬について、仮にも参考にできたらな?と訪れて下さった方には申し訳ありません。ゴメンナサイ。

葛藤や苦しみは限りなく本物で、この小説を自己発散の場として使っています。実話より小説の方がより表現しやすいと考えての行動で、もし少しでも理解して頂けたら幸いです。

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